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耐熱材として優れた金属とは? 特徴・用途・製品例を解説!

耐熱材として優れた金属とは?
特徴・用途・製品例を解説!

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高温環境で使用される製品を開発する際は、耐熱性に優れた金属材料の選択が不可欠です。用途によっては機械的強度や耐食性なども重要になるため、各種の耐熱金属の特性をよく理解しておかなければなりません。本記事では、耐熱材として使用される金属の特徴や用途、製品例について詳しく解説します。

耐熱性が高い金属と特徴

製品性能を高温下でも維持させたい場合には、当然ながら耐熱性の高い金属を採用することになります。しかし、どの金属を選択するかについては、耐熱性以外の特性や加工性、コストなどが決め手になりやすいです。ここでは、代表的な耐熱金属と特徴について紹介します。

SUS304

SUS304は、クロム(Cr18%以上、ニッケル(Ni8%以上を含有する鋼材で、非常に一般的なオーステナイト系ステンレス鋼です。耐熱性と耐食性が高く、加工性や溶接性にも優れます。そのため、一般家庭用品から建築部材や食品機械、化学機械といった工業用途に至るまで、幅広く利用されています。

SUS304は、最大約870の温度まで耐熱性を保つことができますが、高温が長時間続く場合は強度が低下することに注意が必要です。硬い金属であることから切削性に難があり、熱伝導性もそれほど高くはありません。また、冷間プレスによって磁化や硬度上昇が起こったり、水素を取り込んで強度が低下(水素脆化)したりするデメリットもあります。

インコネル

インコネルは、ニッケルを主成分とする超耐熱合金です。特に高温下での強度に優れ、耐酸化性もあわせ持っています。高温環境下でも安定した性能が求められる用途に最適で、ジェットエンジンや化学プラント、原子炉部品といった厳しい条件下で使用されるコンポーネントに採用されています。インコネルにはいくつかの種類があり、代表的なのはインコネル600やインコネル625、インコネル718などです。

インコネルは種類にもよりますが、7001000といった非常に高い温度帯でも強度を保ち、酸化にも耐えます。その一方で、金属の中でも有数の難削材として知られています。硬くて熱伝導性も低いため、一般的な工具ではまともに加工することができません。

チタン合金

チタン(Ti)をベースに、アルミニウム(Al)、クロム、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)などを加えて製造される合金です。約500まで強度を保つ耐熱性を発揮し、軽量性と耐食性にも優れています。航空機や宇宙船のエンジン部品、排気システムなど、高温や腐食にさらされるアプリケーションに適しています。生体適合性も優秀なため、医療用インプラントへも適用可能です。

チタン合金は優秀な特性を持ちますが、かなり高価でもあります。ステンレスの10倍前後の価格となるため、製造コストを跳ね上げてしまうことに留意しなければなりません。また、チタン合金は切削や成形、溶接が難しいため、精密な加工をおこなうには熟練の知識と技術が必要です。

モリブデン

モリブデン(Mo)もまた、耐熱性と強度に優れた金属です。融点が約2600と高く、高温環境下でも安定した物理的特性を維持します。航空宇宙産業や軍事産業、エネルギー産業といった用途への活用が多いです。また、モリブデンは優れた熱伝導率と低膨張係数を持つため、電子部品の基板や、ランプのフィラメントなど、熱管理が重要なアプリケーションにも使用されます。酸化や腐食にも強いため、化学工業の触媒材料としても優秀です。

しかし、モリブデンの生産には大量のエネルギーが必要で、廃棄やリサイクルも難しいといった問題があります。モリブデンは優れた耐熱材ですが、選択する際には環境負荷も考慮に入れて検討しましょう。

ニオブ

ニオブ(Nb)は2468の融点を持ち、高温下でも十分な強度を保持します。展性や延性にも優れるため、耐熱金属の中では比較的加工がしやすいです。航空宇宙産業では、ジェットエンジンやロケットなどの部品製造に用いられます。また、極低温での超伝導材料や特殊鋼の添加元素としても活用可能です。ニオブには耐食性があり、酸やアルカリにさらされる化学プロセス産業でも利用されています。

ニオブを切削加工する際は、摩耗熱による加工硬化に注意が必要です。粘り気のある切粉が付着して工具を傷めやすいため、切削油を使用したり切削速度を調整したりするとよいでしょう。

タングステン

タングステン(W)は、融点が3422とすべての金属で最も高く、高耐熱かつ高硬度、高密度、さらに低い熱膨張率と大きな電気抵抗まで備えたレアメタルです。これらの特性により、電球のフィラメントや抵抗溶接電極、高温炉のヒーター素材、防弾材料、釣りのおもり、ゴルフクラブのウェイトといった広範で特殊な用途に応用されています。さらに、タングステンは高い耐摩耗性を持つため、金属切削工具や鉱山機械の部品のような耐久性が求められる製品にも有用です。

タングステンの最大の欠点は難削材であることです。非常に硬く重い金属であるために、工具を激しく摩耗させます。また、そもそもの存在量・流通量が少なく、生産コストも高くなることから、ほかの耐熱金属ほど活用頻度は高くありません。

非金属の耐熱材

セラミックスのように、金属以外にも高い耐熱性を持つ製品材料が存在します。ここでは非金属の耐熱材の例として、アルミナとBNについて解説します。

アルミナ

アルミナ(酸化アルミニウム・Al2O3)は、耐熱性に優れたセラミックス材料です。約2000までの高温に耐えることができ、工業炉のライニング材料やカッティングツールなどに使用されます。また、アルミナは優れた電気絶縁性を持つため、電気絶縁体や電子部品の基板材料にも適した素材です。耐摩耗性にも優れることから、機械部品の耐摩耗コーティング材料としても活用されています。

BN(窒化ホウ素)

BNもセラミックスの一種で、アルミナと同様に耐熱性と絶縁性で注目されています。2000前後でも物理的特性が安定し、高温環境下の電気絶縁体素材や放熱基板用のフィラーとして非常に有用です。潤滑性を活かして、潤滑材や放熱材料の添加材などにも使用されます。さらに、化学的安定性が高く、酸やアルカリに対しても強い耐性を持っており、化学産業での反応器やロケット燃焼室のライニングにも利用されます。

耐熱性が求められる用途・製品例

耐熱性は製品性能を左右する特性であるため、多くの産業分野で重視されています。特に航空宇宙や自動車、エネルギー、化学工業など、極端な温度条件下での使用を想定している用途では、耐熱性と何らかの特性を掛け合わせた材料選定が不可欠です。以下に、耐熱性が前提として求められる用途例や製品例を紹介します。

・航空宇宙産業

航空機のエンジンや宇宙船の外装材料には、非常に高い耐熱性が求められます。タングステンやニオブ、チタン合金などが、エンジン部品や耐熱シールドに適した素材です。高温でも機械的強度を維持し、極端な環境下での信頼性を保証します。

・エネルギー産業

火力発電所や原子力発電所など、高温で稼働するエネルギー設備においては、耐食性を持ちあわせた耐熱材料が必要です。インコネル合金などがボイラーや原子炉、蒸気タービン、熱交換器の部材として使用されています。

・自動車産業

自動車の排気システムやエンジン部品にも、耐熱性と耐食性が求められます。SUS304やアルミナコーティング処理された鋼材が、マフラーや触媒コンバーターの素材として有用です。サスペンションやエンジンバルブなど、耐熱性と軽量化を両立させたい部品にはチタン合金が最適です。

・化学工業

化学反応の触媒として使用される装置、あるいは化学物質を扱うプロセスにおいては、モリブデンやタングステン、ニオブといった腐食に強い耐熱金属が採用されます。化学工業分野では、さまざまな特殊環境下での耐久性が求められるため、どの耐熱材が適切かよく検討する必要があります。

・電子部品

半導体製造プロセスや電子部品のハウジングには、耐熱性と高い電気絶縁性を兼ね備えた材料が必要です。これらの要件を満たすアルミナやBNなどのセラミックスは、高温でも信頼性を保持する電子部品の製造に貢献します。半導体や電子基板には、耐熱性と導電性に優れるモリブデンが使用されています。

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