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モリブデン加工
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高融点材(モリブデン・タングステン・タンタル)を軸に一般金属からセラミックスまで『削る』・『切る』・『曲げる』・『繋げる』・『磨く』などすべてのあらゆる加工に対応しています。


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モリブデンとは
モリブデンは体心立体格子の結晶を持つレアメタルの一つです。大きな特徴はその融点にあり、金属の中で5番目に高い融点2620℃を誇ります。モリブデンはステンレスの添加剤として使用されたり、二硫化モリブデンとして潤滑材の役割を発揮することが多い金属ですが、高融点の他に熱膨張率の低さと言った優れた機械的特性、タングステンより容易な加工作業性という特徴を活かし、高温炉のヒーターやリフレクター、パワーエレクトロニクスの半導体基板、スパッタリングターゲットなど、さまざまな用途で活躍しています。
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モリブデンの加工について


モリブデン切削加工
切削が難しい理由
モリブデンは、同じく高融点金属として知られる「タングステン」や「タンタル」などと比較すると、切削性は悪くありません。
しかし脆さや粘り気といった性質を持つため、一般的な加工の難易度としては高く、難削材に分類されます。さらに、延性が低いことから切り屑が非連続となり、仕上げ面の精度悪化を招きやすいことも加工が難しい理由の一つです。
切削加工のポイント
モリブデンを切削加工する際の工具は、超硬素材のもので、中でもK種のものが適しています。セラミックス素材やサーメット素材のものは適していないため、注意が必要です。
延性の低さによる表面粗さの劣化については、適切な条件の下、湿式加工(切削油・クーラントを使用しての加工)を行うことで、切り屑の連続性が増し、改善が期待できます。
また、モリブデンは脆く、素材が欠けやすいという特徴を持っています。特に工具が素材を抜ける際が最も欠けが発生しやすいため、ツールパス(切削工具の経路プログラム)や工具の切り込み量などを工夫することが重要です。
モリブデン板金加工
金属モリブデンは用意に加工作業を行う事が出来ますが、体心立体格子を有する全ての金属と同じく、モリブデンには遷移温度がありますので、その温度以下では脆くて硬質のため加工性は悪い状態です。この温度以上であれば延性を帯び加工性が向上します。一方でモリブデンを再結晶温度以上に加熱すると結晶粒子が成長し組織が肥大し、強度と硬度が著しく低下してしまいます。よって板金加工作業に推奨できる温度範囲は脆さ延性遷移温度以上、且つ再結晶温度以下を推奨しております。機械加工性については鋳鉄の機械加工性と似ているとされておりが、工具の精密なセットアップが非常に重要になります。
- ヒビ割れや欠けやすいためプレス加工は困難。専用の金型を作成し成形可能
- レーザー加工は良好
- 曲げ加工は常温では困難。ヒーター等で加熱し加工
モリブデン接合加工
- 形状等に制限はありますが、TIG溶接、電子ビーム溶接、レーザー溶接も可能。
しかし溶接は非常に難しく、酸化させないように専用設備の雰囲気内での作業。また溶接後は高温なので、冷めるまでは大気にさらせません。前述の作業を施しても割れ等が発生する可能性が高い - 困難な溶接よりも「リベット留め」が安価
- 材料によっては「ろう付け加工」も可能
モリブデン材の製造工程
モリブデン粉末は均一な粒子に篩い分けされた後、棒や板など様々な形状、寸法に圧縮プレスされます。圧縮成型品はまだ強度が弱いので、この圧縮成型品を約2000~2200℃の高温の水素炉中で焼結していきます。そこで作られた焼結インゴットに対して、1200℃~1500℃程度の温度にて圧延・鍛造作業を繰り返します。この工程で密度や結晶構造を最適な状態に仕上げていきます。この様にして、棒材、板材、線材、箔などの材料製品を製造します。
モリブデンの物理的特性
モリブデンは高融点の他に、低い熱膨張係数、高い弾性率、高い熱安定性、優れた熱伝導性という特徴を持っています。タングステンと同様に高温に強く変形し難いという素晴らしい特性を持っている事から、真空工業分野において優れた特性を発揮します。そして加工作業性も容易である事から、万能材料モリブデンと言っても過言ではありません
モリブデンの物理的特性
原子量 | 95.95 | ||
融点 | K | 2893 | |
沸点 | K | 5073 | |
密度(20℃) | g/cm3 | 10.2 | |
熱膨張係数 | 20℃ | 10-6/K | 5.3 |
20℃から1000℃ | 5.8 | ||
20℃から1500℃ | 6.5 | ||
比熱 | 20℃ | J/g・K | 0.25 |
1000℃ | 0.31 | ||
2000℃ | 0.44 | ||
比電気抵抗 | 20℃ | Ω・mm2/m | 0.052 |
1000℃ | 0.27 | ||
1500℃ | 0.43 | ||
2000℃ | 0.6 | ||
熱伝導率 | 20℃ | W/m・k | 142 |
1000℃ | 105 | ||
1500℃ | 88 |
モリブデンの化学的特性
モリブデンは空気中、常温では表面が酸化し変色します。酸化は400℃で始まり600℃で急激に進行し700℃ではMoO3を形成します。高温下では硫黄、炭素、ケイ素と反応し、MoS2、Mo2C、MoSi2などを形成します。
モリブデンの気体との反応
酸素 | 約400℃まで | 酸化物形成 |
700℃以上 | WO3を形成 | |
水蒸気 | 700℃以上 | 酸化反応 |
水素(H2) | 安定 | |
窒素(N2) | 1500℃以上 | 窒化物形成 |
炭化水素(CnH2n) | 1100℃以上 | 炭化物形成 |
一酸化炭素(CO) | 1400℃以上 | 炭化物形成 |
二酸化炭素(CO2) | 1200℃以上 | 酸化反応 |
二酸化硫黄(SO2) | 600℃以上 | MoS2を形成 |
モリブデンの炉材との反応
カーボン(C) | 1100℃以上 | 炭化物形成 |
アルミナ(Al2O3) | 1900℃まで | 安定 |
ジルコニア(ZrO2) | 1900℃まで | 反応する |
トリア(ThO2) | 1900℃まで | 反応する |
硫黄 | 600℃ | 腐食する |
タングステン | 2000℃ | 反応する |
モリブデンの再結晶
800℃~1200℃の間で再結晶を開始し、1200℃~1800℃の間で結晶粒子が激しく生長する為強度と硬度が著しく低下します。再結晶組織を除去する為に圧延などの再加工を行っても救い手はありません。しかしこの再結晶を阻害するために、微細なほかの元素を微量に添加することにより、再結晶温度を上昇させ高温強度を大幅に増加させる事が出来ます。
モリブデンの合金
モリブデンランタン
モリブデンにランタンを微量添加することによって、モリブデンの再結晶をランタンが阻害します。そ
の為再結晶温度が上昇し、耐クリープ性能が向上します。一般的にモリブデンの再結晶温度は800℃から1200℃の間で急激に再結晶を開始しますが、モリブデンランタンは800℃から1200℃の間でも緩やかに再結晶していきます。その上、加工性はモリブデンと何ら変わりません。
モリブデンチタンジルコニウム
モリブデンと比べて高温強度、再結晶温度のいずれもより高い性能を発揮します。1100℃以上の温度帯ならモリブデンチタンジルコニウムを選択する事を推奨します。焼結用ボート、焼結用セッター、X線管アノードなど高温負荷、機械的負荷が掛かる用途に最適です。
モリブデン銅
モリブデンの低熱膨張率及び銅の高い熱伝導性を兼ね揃えた複合材料になります。30wt%までの銅を含みます。パワーエレクトロニクス用ヒートシンク材料として最適です。
モリブデンの名前の由来
モリブデンの名称の由来は、古代ギリシャの「鉛」を意味するmolybdosから来ています。黄鉛鉱の中でモリブデンと鉛が化学的に結合していたため、モリブデンは鉛と間違えられていました。スウェーデンの化学者SCHEELEが1778年にモリブデンと鉛の違いを立証した事から、モリブデンは天然に産出する90の元素の一つになったのです。